大ホラ吹きというのはいつの時代も存在する。しかしそのホラもあまりにも巧妙で、あるいは度がすぎると物凄い影響を人々に与えることになる。

嘘は一度つくとずっとつき続けなければならなくなることも多い。そして、それが長い期間にわたると本人すらそれが本当のことだと錯覚を起こしてしまったり、何かのきっかけで信憑性を得てしまったりということがあるようだ。

それでは、

史上稀に見るほどの大きな影響を及ぼした【嘘・偽り】7選のご紹介です。

 

■アンナ・アンダーソンによるアナスタシア皇女の偽装

AnnaAnderson1922

アンナ・アンダーソン(画像)は、自分がロシア帝国皇女・アナスタシアだと生涯に渡り言い続けた人物。史上最も有名な王族偽装者である。ロシア帝国最後の皇帝、ニコライ2世の一家はロシア革命後に処刑されたのだが、「皇帝以外の家族は安全な場所にいる」という政府の嘘の発表がそもそもの始まりだった。アンナは生涯、仕事をせずとも多くの支持者の援助のみで生活できたていたという。アンナの死後、アナスタシアの遺骨が発見されたのだった。

アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ皇女(下画像)url-3-600x828_s

 

■ピルトダウン人の化石の捏造

1910年、チャールズ・ドーソンによってピルトダウンにて発見された人骨化石は、「現生人類最古の祖先のもの」とされた。ドーソンは1916年に没してしまうが、その後40年にわたって信じられることになる。1950年、科学の発達(フッ素法)により捏造であることが発覚された。ピルトダウン人の化石は精妙に作られた偽物であった(下あごはオランウータンのものだった)。近大科学史上最大のいかさまといわれている。

url1-600x600_s

■トロイの木馬

トロイア戦争でギリシア人がトロイア人をだました戦略、その時使われた巨大な木馬。

撤退したと思われるギリシア人の陣地に残されていたのは巨大な木馬だった。トロイア人たちはそこにいた名も知らぬ男シノーンと木馬を自陣営に持ち帰った。シノーンはギリシア人は撤退したとトロイア人をうまく欺いた。

祝杯を挙げ酔っ払っていたトロイア人に、木馬の中に隠れ忍んでいたギリシア人たちが襲い掛かかることとなる。

trojan-horse2-600x478 (1)_s

 

 

■ハン·ファン·メーヘレンによるフェルメールの贋作

作品数が少なく貴重なオランダを代表する画家フェルメールの贋作で有名。ハン·ファン·メーヘレンは20世紀でもっとも巧妙な贋作者といわれている。フェルメールの研究を重ね、また独自に開発した画材を使用したりと徹底した手法で、200年以上前のフェルメールの架空の作品を再現し、専門家たちを次々とだました。結局自ら白状したことで明らかになる。
url-600x549_s

 

■ドレフュス事件

普仏戦争でドイツに敗れたフランスは莫大な賠償金をかせられ、経済は大きく混乱していた。資本はロスチャイルドらユダヤ系金融業者に先導され、有利な海外投資に向けられたが、運悪く金融恐慌が発生し、多くの投資銀行が破産することに。

貯蓄を失った人々のユダヤ人嫌悪が爆発しかけていた。そのような背景の中、スパイ疑惑で何の証拠もなしに逮捕されたのがユダヤ人のドレフュスである。

作家エミール・ゾラをはじめとした自由主義勢力の活躍により、証拠品の偽造などが明らかにされていき、ドレフュスは12年後に無罪を勝ち取った。

Alfred-Dreyfus-1910-600x600_s

 

■タイタス・オーツとイズレイエル・トングによるデマ(カトリック陰謀事件)

清教徒革命後のイングランドでは反カトリックの感情が根強く残っていた。

プロテスタントの家に生まれたオーツはイギリス国教会に職を得るが、スキャンダルを起こし国教会を追わた。スペインに渡り一転してイエズス会(カトリック)に近づくが、今度は拒絶されたという過去を持つ男。カトリックへの恨みをいだいてイギリスへ帰国した。

オーツとトングは、国内のカトリック教徒がフランスの支援を受けて国王やプロテスタントを皆殺しにする計画を立てているといった陰謀をでっち上げた。当初誰も聞く耳を持たなかったのだが、ある2つの事件が発端となって陰謀に信憑性が与えられてしまう。一つは治安判事の変死。犯人は見つからず不気味な事件であった。もう一つは王弟ヨーク公の妃秘書コールマンがフランス宮廷の要人とやり取りしていた手紙が露見したこと。

プロテスタントは集団ヒステリーを起こし、またオーツとトングは陰謀をいち早く暴いた国民的英雄に祭り上げられた。勢いを増したオーツは次々とカトリック聖職者を糾弾し、30名余が処刑させられた。

2年半後にやっと鎮静化がみられ、オーツの発言に信憑性がないことが認識されていった。オーツは偽証罪で裁判にかけられた。

url4-600x884_s

 

■バーナード・L・マドフによる詐欺事件

マドフは自身が起した証券投資会社の会長として、30年に渡り人々をだましつづけ、5兆円とも6兆円ともいわれる超莫大な被害額を生み出した。その資金運用の詐欺は非常に古典的なもので、集めた資金を、配当の支払いに回すという自転車操業であった。

2008年に逮捕され、禁固150年の判決を受ける。

url2-600x600_s