海外サイトに世界で最も素敵な鉄道の駅というランキングの記事を見つけ、とてもいいなぁと思ったのでご紹介します。
基準としては機能性とか乗降者数とかではなく、建築のすばらしさや歴史性、あるいは知名度を評価しているようです。
日本の駅は入っているでしょうか。思い浮かぶのは東京駅や金沢駅ですよね。
それでは、世界で最も素敵な駅トップ10をどうぞご覧ください。
10位 クアラルンプール駅(マレーシア)Kuala Lumpur Railway Station
現在の駅舎は植民地時代の1910年の建設で、優雅なインド・イスラム様式。
リヴァプール出身の若手建築家アーサー・ベニソン・ハバックが設計を担当した。
当時、英領インドや英領マラヤ在住のイギリス人建築家の間ではミナレットと呼ばれる塔やドーム天井などのモスクの建築様式と西洋の建築様式を融合する手法がよく使われていていた。
2001年にクアラルンプール・セントラル駅が完成し旧クアラルンプール駅は中央駅としての役割を終えたようだが、歴史のある美しい建築が今も利用者を魅了している。
ちなみに新しい近代的なクアラルンプール・セントラル駅のはこちら↓
9位 金沢駅(日本)Kanazawa Railway Station /Japan
2015年の北陸新幹線開通でさらに活気に満ちた駅となっている金沢駅ですが、駅の東広場にある鼓門(つづみもん)ともてなしドームが完成したのは2005年で、7年の歳月と総工費172億円をかけて完成した。
建設コンサルタントのトデック、鈴木良樹氏がプロダクトマネージャーを務め、白江建築研究所の白江龍三による設計。
江戸期隆盛を極めた加賀百万石の前田家は、5代目藩主前田綱紀の時に宝生流能楽を導入したことで、後に金沢での能楽普及へと継承された。鼓門は、能楽を表す意匠を設計モチーフとしている。
もてなしドームは三味線のバチのような形をしている。アルミニウム合金を構造に使用。屋根だけでなく壁面にまで張弦材ハイブリッド立体トラス構造を採用し強化ガラス3019枚を用いたアルミ建築。
アメリカの著名な旅行誌「Travel & Leisure」の「世界で最も美しい駅」14選にも選ばれた。
8位 マプト駅(モザンビーク)Maputo Railway Station
アフリカ南東の国、モザンビークの首都マプトの駅。1904年~1916年の建築。エッフェル塔の建築で有名なギュスターヴ・エッフェルによる設計だとのうわさもあるようです。当時はポルトガル領東アフリカであった。
ボザール様式でメインファサードは3つのドームが連なり、ヨーロッパの宮殿をおもわせる。メインホールやカフェ・レストランへ通じるサイドの通路は、エメラルドグリーンを基調としている。
大理石の柱や錬鉄製の格子などの装飾も特徴的でその美的な外観に貢献しています。
2009年ニューズウィーク誌では「旅と同じくらい壮大な鉄道駅」のリストでマプト駅を7位にランク付けし、「おそらく」アフリカで最も美しい終点であると評している。
7位 シルケジ駅(トルコ/イスタンブール)Sirkeci Railway Station
1890年施工の歴史あるオリエンタル鉄道の駅。西ヨーロッパとイスタンブール(当時はコンスタンティノープル)をつなぐ世界的に有名なオリエント急行の終点でもある。アガサクリスティの小説の舞台としても有名ですよね。
設計者はオスマン建築を研究するためにドイツ政府からイスタンブールに派遣されたプロイセン人のオーガスト・ジャスムンド。イスタンブールの工科大学(現在のイスタンブール工科大学)で建築設計を講義していました。ターミナルビルは、ヨーロッパのオリエンタリズムの最も有名な例の1つです。
6位 パリ北駅(フランス)Paris-Nord Railway Station
芸術の都パリの駅ですから、当然美しい。パリ10区にある駅。晩年のジャック・イニャス・イトルフによる設計で1865年に完成した。ヨーロッパでもっとも忙しい駅といわれ、ロンドンへ約2時間で行ける国際特急ユーロスターの発着駅としても有名ですね。まさに歴史と近代が融合した駅。
ネオバロックあるいは新古典主義の外観を持ちながらも、鉄とガラスを駆使して造られている。イトルフは新古典主義とは反するネオ・グレコ(南イタリアの古代ギリシャ遺跡に影響)と呼ばれる潮流の先駆者とも言われている。
正面には何体もの彫刻が配置されていて、駅自体が芸術作品といった趣である。
5位 アントウェルペン中央駅(ベルギー/アントワープ)Antwerpen/Antwerp Central Station
ベルギーのアントワープ市の主要鉄道駅。1895年から1905年にかけての建設。石で覆われたこの建物はルイ・デラサンセリーによって設計された。駅舎とプラットホームを含めた長さは250m以上に及ぶ。近年人気情報サイト「Mashable」で世界で最も美しい駅舎の第1位に輝いた。
ファサードはドーム型の屋根を掲げた折衷様式で鉄道の大聖堂といわれている。待合ホールは吹き抜けになっており、宮殿のような空間に綺羅びやかな装飾が施されている。柱は色大理石が使われ2階への重厚な階段が設置されている。階段の先がプラットホームで鉄骨で組み上げられている。
当時のヨーロッパではエッフェル塔のような新しい建築が流行していたが、対してアントワープ中央駅は中世のお城のような石造りの待合ホームと、鉄骨を駆使した近代的なプラットホームの2面性を持ち合わせている。
4位 マドリード アトーチャ駅(スペイン)Madrid Atocha Railway Station
1992年まで使用されていた旧駅舎は、19世紀~20世紀初頭のヨーロッパで建設された鉄道駅(大都市のターミナル駅)建築の典型例であり、様式的にも優れていた。現在の旧駅舎は外観を保存しつつ、内部は乗客サービス・商業施設・カフェテラス・待合室等に利用されて新駅舎の一部に組み込まれている。
特筆すべきは待合室・カフェテラスとして利用されているかつてのプラットホーム部分で、鉄とガラスを用いた天井の高い空間を旧駅舎と同時期にヨーロッパ各地に建てられた「植物園」に見立てた演出がなされ、この駅を利用する旅行者に強い印象を与えている。
3位 セント・パンクラス駅(イギリス/ロンドン)St Pancras International station
1868年にミッドランド鉄道(1844年から1922年まで存在)のターミナル駅として開業した。
駅舎はヴィクトリア朝のゴシック・リヴァイヴァル建築の中心人物ジョージ・ギルバート・スコットの設計。宮殿のようなヴィクトリア朝ネオ・ゴシック建築は、セントパンクラス・チャンバーズ「鉄道の大聖堂」と呼ばれている。
左翼に時計塔を配置した左右非対称の構成が特徴的。プラットフォームの全長210メートルの大屋根(トレイン・シェッド)はウィリアム・バーローによる設計である。このシェッドは近年ユーロスターの乗り入れに合わせて北側に拡張された。
2位 チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅(インド/ムンバイ)chhatrapati shivaji terminus station
建設は1878年に開始され1887年に完成した。この年はヴィクトリア女王の即位50周年にあたり、ゴールデン・ジュビリーの祝典がインドでも行われ、新駅は「ヴィクトリア駅 (Victoria Terminus)」と命名された。
駅舎にはグレート・インディアン・ペニンシュラ鉄道の本部が入居し、インド西岸の鉄道の起点となった。
建築家のフレデリック・ウィリアム・スティーヴンスによって設計され、ヴェネツィア・ゴシック建築様式で、壮麗で豪奢な建築物である。さらにヴィクトリア朝のゴシック・リヴァイヴァル建築とインドの伝統的建築の要素が組み込まれている。前出のロンドンのセント・パンクラス駅の影響が見られる。
1位 グランド・セントラル・ターミナル駅(アメリカ/ニューヨーク)Grand Central Terminal station
ニューヨーク、マンハッタンを代表する歴史的建造物である。1871年ニューヨーク・セントラル・アンド・ハドソン・リバー鉄道、ニューヨーク・ハーレム鉄道そしてニューヨーク・アンド・ニューヘイブン鉄道により旧駅施設が完成し開業した。
現在の駅舎は3代目で1913年2月1日に完成した。1903年にプラットフォームと車両基地を地下に移設する工事が始まり、パークアベニューの真ん中に敷かれていた線路も数キロに渡って地下化された。同時に鉄道の電化も行われ続いて新駅舎の建設に取り掛かった。ライバルのペンシルバニア鉄道ペンシルバニア駅の駅舎より豪華な建物を目指していた。駅の地下化により空き地となった地上部を再開発用地として売却し、この費用にあてた。駅舎は、コンペで選ばれたリードアンドステム(現在のWASA Studio)およびウォーレンアンドウェットモアによって設計された、古典主義風のボザール様式(アメリカン・ボザール)。
2014年に駅舎生誕100周年を迎える日本の東京駅と姉妹提携を結ぶことも発表された。44面のプラットフォームと67の線路を備えた、単一の駅としては世界最大である。
■参考サイト ttps://www.galeriemagazine.com/