今回は世界で最も美しい庭園/公園/植物園という魅力的なランキングが海外サイトにあったので、ご紹介します。何かのデータ的なものを集計した客観的ランキングではなく、おそらく主観的であろう部分も大きいラインナップなのがより興味をひきました。

庭園の魅力はもちろん芸術的要素も大きいでしょうから、主観的になるのも本当はしょうがないことですよね。

そいうことで早速、世界で一番美しい庭園/公園/植物園トップ10観ていきましょう。

The most beautiful garden in the world

 

10.ミラベル庭園/Mirabell Palace、ザルツブルク、オーストリア

世界遺産に登録されているオーストリア、ザルツブルク市街の歴史地区にある庭園。ザルツブルクは中世以来宗教都市として栄えた。

ミラベル庭園はミラベル宮殿に付設された、1690年にフィッシャー・フォン・エルラッハ(1656年-1723年)によって設計された美しい庭園 (Mirabellgarten) である。庭園には、ギリシア神話の神々の彫刻がならび、「ペガサスの噴水」のまわりは、映画『サウンド・オブ・ミュージック』でジュリー・アンドリュース演じるマリア先生が子どもたちと一緒に「ドレミの歌」を歌い、踊ったところである。

丘の上に見えるのはホーエンザルツブルク城。

 

 

9.ビクトリア王立植物園/Royal Botanic Gardens Victoria/メルボルン、オーストラリア

オーストラリアの大都市メルボルンに1842年に造園され、年間180万人を超える人々が訪れるビクトリア州王立植物園。街の中心部からすぐの距離にある。

園内では、ツバキ科の植物、多雨林の植物、多肉植物、サボテン、バラ、カリフォルニアの植物、ハーブ、多年生植物、ソテツ、南中国原産のソテツなど、多様な植物コレクションを見ることができる。

ギルフォイルズ・ボルケーノ(Guilfoyle's Volcano)は必見のエリア。美しい植物園とそこから垣間見えるメルボルンの街は圧巻。

この植物園は、大人から子供まで、また野生動物たちにとっても楽園となっている。

芝生の上での野外映画観賞会や劇場公演、展覧会なども催されている。

 

 

8. 寄暢園/きちょうえん/ジチャンユアン/Jichang Garden、江蘇省、中国

寄暢園は中国は江蘇州無錫市の西の郊外東側にある恵山の東麓に位置しており、恵山横町の錫恵公園内にある庭園。恵山寺に隣接している。明代の時拡張された歴史ある中国江南における有名な古典庭園で、1988年1月13日に国務院によって全国の重点文物保護財になった。

寄暢園は中國の造園芸術の粋を集めた庭園である。明代の秦金という人が余性を過ごすために造った庭園で、清朝の康熙帝、乾隆帝も度々ここを訪れた。ここにある鬱盤には碁好きの皇帝がおしのびで訪れたときに、自分の囲碁の力を思い知らされて憂鬱にあってしまったという、微笑ましいエピソードがある。
 北京の頤和園の中で、最も美しいといわれている諧趣園は清代の乾龍帝がここをもとにして築いたものと言われているが、その乾龍帝をして「やはり寄腸園には及ばない」と嘆かしめたという。

世界的に有名というわけではないようで、錫恵公園の情報はあるが寄暢園の情報は少なかった。その辺のミステリアスな雰囲気がまた興味をひく。マニアックな庭園好きにはたまらない魅力を秘めているのだろうか。情報を求めたいところ。

 

7. フィン庭園/Bagh-e Fin、カーシャーン、イラン

イラン・カーシャーンにあるペルシャ式庭園。2011年、「ペルシャ式庭園」他のイラン国内の8つのペルシャ式庭園とともに、ユネスコの世界遺産に登録された。

シンメトリーな景観、青い色の水底の数多くの通路と水路があり、たくさんの噴水が並んでいる。フィン庭園のそばの丘の泉があり、その泉の水を利用して庭園内に数多くあるプールや噴水に供給されている。驚くことにこれらの水の供給には機械的なポンプを必要としていない。年間の降雨量に全く関係がなく、泉の水量は常に一定で、干ばつの年でさえ、その量に変化はないという。この泉の水の温度は一年を通して25度に保たれている。

庭園の木の配列、緑の空間、花壇の配列は、チャハールバーグ様式という様式。この庭園に生えている木のほとんどは杉の木で最も古いものは、樹齢およそ500年。

庭園全体に水サファヴィー朝時代の宮殿の例であり、ザンド朝とガージャール朝時代に、幾つかの建物が加えられた。

 

 

6.アリゾナ州フェニックス、砂漠植物園

アメリカはアリゾナ州フェニックスといえばグランドキャニオンに象徴される広大な自然と砂漠の景観で、近年ますます観光都市として人気を博している。

14もの国立公園があるフェニックスに1937年に設立されたこの庭園には、4000以上の分類群に21,000以上の植物がある。アメリカ全土に見事な植物園がたくさんあるが、フェニックスの砂漠植物園はサボテンという植物のユニークさによって、植物庭園としての魅力が際立っている。

145エーカーの敷地内にはシマリス、ウサギ、鳥などの砂漠の動物も集まってきている。都会の中で美しい自然にどっぷりひたることができる。

 

5.石川県兼六園

石川県金沢市、金沢城に隣接する日本庭園。国の特別名勝に指定されている。

岡山市の後楽園と水戸市の偕楽園と並んで日本三名園の1つ。2009年『ミシュラン観光ガイド』では最高評価の3つ星に選ばれた。

回遊式庭園は園内を回遊して鑑賞する庭園、日本庭園の集大成とも位置づけられる。

池泉回遊式庭園は大きな池を中心に配し、その周囲に園路を巡らして、築山、池中に設けた小島、橋、名石などで各地の景勝などを再現。園路の所々には、散策中の休憩所として、また、庭園を眺望する展望所として、茶亭、東屋なども設けらる。

兼六園は、小立野台地の先端部に位置していることから、園内に自然の高低差がある。これによって、園路を登りつめていく際の幽邃な雰囲気と、高台にある霞ヶ池周辺の宏大さ、眼下の城下町の眺望を両立させている。

 

4.フランス、ヴェルサイユ宮殿の庭園 palais de versailles garden

 

ヴェルサイユ宮殿と噴水庭園はルイ14世が建造した宮殿と庭園。フランス絶対王政の象徴的建造物ともいわれる。宮殿の建設よりも労力を費やされている噴水庭園には、宮殿建設の25,000人に対し、36,000人が投入された。

ヴェルサイユには近くに水を引く高地が無い。ルイ14世は10km離れたセーヌ川の川岸にマルリーの機械と呼ばれる巨大な揚水装置を設置し、堤の上に水を上げさせた。そして古代ローマに倣って水道橋を作って、水をヴェルサイユまで運び、巨大な貯水槽に溜め込んだ。こうして水無き地で常に水を噴き上げる噴水庭園を完成させ、自然をも変える力を周囲に示した。

噴水庭園は、遠近法を用いて修景され、宮殿からラトナの泉、タピスヴェール(緑の絨毯)に沿って、アポロの戦車の盆地へと続いている。水面から昇る戦車は、太陽の昇りを象徴した。

噴水の向こうには、大運河(Grand Canal, グランド・カナール)が公園の南端まで1800メートル伸びている。

 

3.モロッコ、マラケシュのマジョレル庭園 The Majorelle Garden

モロッコ、マラケシュにある2.5エーカーのフランスオリエンタル様式の庭園、植物園。ジャック・マジョレルによって1923年から約40年間にわたって作成された。キュビズムを特徴の一つとしている。

マジョレルがマラケシュ周辺やベルベルのバーンハウスで見た色のタイルに触発された大胆なコバルトブルーの特別な色合いは、庭とその建物で広く使用され、彼にちなんでマジョレルブルーと名付けられた。

庭園の運営には費用がかかることが判明し、1947年、マジョレルは維持費を負担するように設計された入場料で庭園を一般に公開したがその後破綻し手放しました。

庭園と別荘は、1980年代にファッションデザイナー、イヴサンローランとピエールベルジェによって再発見され、彼らはそれを復元して保存することに着手し、それが今に至る。

 

2.フランス、ジヴェルニーのクロードモネの庭

印象派の画家、クロード・モネが残した庭園。モネは1883年にジヴェルニーの家の果樹園と家庭菜園であったが、1890年に地所を2万2,000フランで買い取ると、果樹園の樹木を伐採して、庭師の助けを借りながら「花の庭」を造成していった。1893年には、園芸を趣味とするカイユボットの助言を受けて温室を作った。ルーアンの植物園から分けてもらった植物や、国内外から取り寄せた珍しい植物を数多く植えていった。1893年隣の土地を手に入れたると、小さい池のある土地で周りには植物が生い茂っており、ここを「水の庭」に造成していった。日本から輸入した睡蓮を根付かせるため、池の水を温めようとして池の東西に水門を設けた。また池に日本風の太鼓橋を作った。睡蓮や太鼓橋にちなんで「日本庭園」と呼ばれたが、石庭などの要素はなく、伝統的な日本庭園とは異なる。

モネの死後は、ブランシュ・モネ・オシュデが屋敷と庭園の管理に努めた。1947年にブランシュが亡くなったあとは、敷地は荒れてしまったが1966年、ジヴェルニーの地所とコレクションは美術アカデミーに寄贈された。美術アカデミーから修復を託されたジェラルド・ファン・デル・ケンプが民間の募金を集め、3年がかりの修復工事を行った結果、1980年、クロード・モネ財団が設立され、以後一般に公開されている。

 

1.カーステンボッシュ国立植物園 南アフリカ、ケープタウン

南アフリカはケープタウンの世界遺産に登録されている、ケープ植物区系保護地域の一角を占める世界有数の植物公園。

1913年に設立され2004年に世界で初めて植物園として世界遺産に登録された。現在も世界遺産の唯一の植物園である。

ケープタウンのランドマークともいえるテーブルマウンテンとデビルズピークを背景に約9,000種の在来植物が生息している。その内の約70%が南アフリカの固有種である。アフリカの珍しい植物群を堪能できる。花の王様と称えられる約100種ものプロテアが、華麗に咲きそろうプロテアガーデンは圧巻。

比較的最近、これらの植物が繁殖するために山火事からの煙が必要であることが発見され、このプロセスの謎を解明しようとしている。

 

以上、世界で一番美しい庭園/公園/植物園トップ10でした。個人が一から作った庭園や、歴史的でマニアックな庭園、大自然をバックボーンにした国立公園など、多様なラインナップでしたね。

植物、建物、水景、山といった各要素のランドスケープ観を凝縮したもの、という共通項を感じました。。またその歴史的背景も興味深いですよね。

すべての場所に一度は行ってみたいですが、そんな夢がかなうのはいつになることやら。きっと自分の世界観を揺さぶられることでしょう。

■参考サイト

ttps://www.wonderslist.com/10-most-beautiful-gardens/